この記事では、兵庫県知事許可の場合を説明します。
建設業許可を受けたら、毎事業年度経過後4か月以内に決算変更届を出します(建設業法第11条第2項)。
このとき、経営事項審査を受ける予定があるかどうかで、書類の作り方が変わる部分があります。
先に決めておかないと、あとから作り直すことになります。
一般的な準備の流れ
公共工事を発注者から直接請け負うには、経営事項審査が必要です。建設業法第27条の23第1項です。
「公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、(略)その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。」
「政令で定めるもの」とされていますので、軽微な建設工事など、法令上の対象外もあります。すべての公共工事に一律で必要というわけではありません。
一般的には、こういう流れになります。
| やること | |
|---|---|
| 1 | 決算が確定する |
| 2 | 決算変更届を提出(毎事業年度経過後4か月以内) |
| 3 | 経営状況分析を受ける |
| 4 | 経営規模等評価の申請・総合評定値の請求 |
| 5 | 入札参加資格審査を申請する |
経審そのものについてはこちらの記事で解説しています。
【違い①】工事経歴書の並べ方が変わります
工事経歴書(様式第2号)の記載要領に、書き分けが定められています。
経営規模等評価の申請を行う場合
「① 元請工事(発注者から直接請け負つた建設工事をいう。)に係る完成工事について、当該完成工事に係る請負代金の額の合計額のおおむね7割を超えるところまで、請負代金の額の大きい順に記載すること(令第1条の2第1項に規定する建設工事については、10件を超えて記載することを要しない。)。ただし、(略)1,000億円を超える場合には、当該額を超える部分に係る完成工事については記載を要しない。
② それに続けて、既に記載した元請工事以外の元請工事及び下請工事に係る完成工事について、すべての完成工事に係る請負代金の額の合計額のおおむね7割を超えるところまで、請負代金の額の大きい順に記載すること(略)。
③ さらに、それに続けて、主な未成工事について、請負代金の額の大きい順に記載すること。」
②の「おおむね7割」は、①で記載した元請工事の金額も含めて計算します。「残った工事だけで、さらに7割」ではありません。ここは誤解しやすいところです。
経営規模等評価の申請を行わない場合
「主な完成工事について、請負代金の額の大きい順に記載し、それに続けて、主な未成工事について、請負代金の額の大きい順に記載すること。」
元請工事を先に選んで並べる必要がありません。まとめて金額の大きい順です。
どちらの場合も共通すること
元請か下請かの記入は必要です。記載要領5に、こうあります。
「『元請又は下請の別』の欄は、元請工事については『元請』と、下請工事については『下請』と記載すること。」
経審の有無で変わるのは並べ方であって、記入欄がなくなるわけではありません。
そしてどちらの場合も、完成工事に続けて主な未成工事を記載します。
工事実績がない業種は「受注実績なし」と記載します。
あとから経審を受けることになった場合、記載内容によっては工事経歴書の修正が必要になります。過去の工事を元請・下請に分けて集計し直す作業です。
決算変更届を作る前に、今年度は公共工事の入札に参加するかどうかを決めておいてください。事前に確認しておくことで、作り直しを減らせます。
【違い②】経審を受けるなら、免税事業者を除き税抜き・千円未満切り捨て
兵庫県の手引きに明記されています。
「経営事項審査を受審する場合は、免税事業者を除き税抜きで作成し、千円未満の端数は切り捨てて表示してください。」
なお、経審を受けない場合も、財務諸表は原則として千円単位で記載します。
貸借対照表(様式第15号)の記載要領3です。
「記載すべき金額は、千円単位をもって表示すること。ただし、会社法第2条第6号に規定する大会社にあっては、百万円単位をもって表示することができる。」
「税抜きにすること」と「千円単位で書くこと」は別の話です。税抜きは経審を受ける場合の扱いで、千円単位は原則です。
単位や表示方法の詳細は、各様式の記載要領をご確認ください。
決算報告書をそのまま出すことはできません
同じ手引きに、こうあります。
「建設業法で定める様式を県ホームページからダウンロードして作成すること。株主総会、税務署等に提出した決算報告書では不可。」
| 様式 | |
|---|---|
| 法人 | 様式第15号〜第17号の3 |
| 個人 | 様式第18号〜第19号 |
確定した決算書の数字をもとに、建設業法の様式に作り直します。ここは誤解が多いところです。
決算変更届で提出するもの
| 様式 | 書類 | 備考 |
|---|---|---|
| 別紙8 | 変更届出書 | |
| 2号 | 工事経歴書 | 経審の有無で並べ方が変わります |
| 3号 | 直前3年の各事業年度における工事施工金額 | |
| 15号 | 貸借対照表 | 法人 |
| 16号 | 損益計算書・完成工事原価報告書 | 法人 |
| 17号 | 株主資本等変動計算書 | 法人 |
| 17号の2 | 注記表 | 法人 |
| 17号の3 | 附属明細表 | 特例有限会社を除く株式会社のうち、資本金1億円超または最終事業年度の貸借対照表の負債の部に計上した金額の合計額が200億円以上の場合 |
| 18号・19号 | 貸借対照表・損益計算書 | 個人 |
| — | 事業報告書(任意様式) | 株式会社(特例有限会社を除く) |
| — | 事業税の納税証明書 |
事業報告書について、兵庫県のQ&A(Q57)にこうあります。
「会社法第435条の規定に基づき作成した事業報告書と同一のものを、毎事業年度経過後、届け出ることを求めているもので、様式については問いません。なお、個人事業主及び特例有限会社は事業報告書を添付する必要はありません。」
同時に出せるもの、出せないもの
次のものは、決算変更届と同時に提出できます。
- 使用人数に変更があったとき(4号)
- 令第3条の使用人の一覧表に変更があったとき(11号)
- 定款に変更があったとき
- 健康保険等の加入状況のうち、従業員数だけが変わったとき(7号の3)
健康保険等の加入状況(7号の3)は、変更の中身で期限が違います。従業員数だけが変わった場合は、毎事業年度経過後4か月以内(決算変更届と同時)で足ります。それ以外の変更(保険の加入や適用除外の状況が変わった場合など)は、変更から2週間以内に、変更の内容を証する書類を添えて提出します(建設業法施行規則第7条の2第3項)。
ただし、変更内容によっては、決算変更届を待たずに届出が必要です。
たとえば、令第3条の使用人(営業所長等)が交代した場合は、変更後2週間以内の届出が必要です。兵庫県のQ&A(Q51)にも、こうあります。
「令第3条の使用人については変更後2週間以内、その他については変更後30日以内に届出を行ってください。」
変更届の期限はこちらの記事で整理しています。
出していないと、更新のときに全部出すことになります
兵庫県の「建設業許可に係るQ&A」Q55です。
「決算変更届は事業年度(決算)終了後4か月以内に必ず提出してください。提出を怠り許可の更新を迎えた場合は、更新申請受理前に提出すべき過年度分の決算変更届を全て提出していただく必要があります」
5年分たまっていれば、5年分です。更新の期限は迫っている、書類は5年分。この状態はつらいです。
届出をしなかった場合の罰則も定められています。6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(建設業法第50条第1項第2号)。同条第2項に、情状により拘禁刑と罰金を併科できる旨の規定もあります。
電子申請もできます
兵庫県では、令和6年4月22日から「建設業許可・経営事項審査電子申請システム」により、建設業許可・経営事項審査・各種届出(一部を除く)の電子申請が可能になっています。
業際について
| 手続き | 担当 |
|---|---|
| 決算変更届・経営事項審査の申請 | 行政書士(当事務所) |
| 税務申告・税務相談等 | 税理士 |
| 商号変更・役員変更などの登記 | 司法書士 |
| 社会保険・雇用保険の手続き | 社会保険労務士 |
当事務所では、確定した決算書をもとに、建設業法の様式に従って財務諸表を作成します。税務申告や税務上の判断が必要な事項は、税理士にご確認いただきます。
まとめ
- 決算変更届は毎事業年度経過後4か月以内(建設業法第11条第2項)
- 経審を受けるかどうかで、工事経歴書の並べ方が変わります
- 受ける → 元請工事をおおむね7割を超えるまで、次にすべての完成工事の合計額のおおむね7割を超えるまで(①の分も含めて計算)
- 受けない → 主な完成工事を金額の大きい順に
- どちらも、続けて主な未成工事を記載します
- 「元請又は下請の別」の記入は、どちらの場合も必要です
- 経審を受けるなら、免税事業者を除き税抜き・千円未満切り捨て
- 経審を受けなくても、財務諸表は原則として千円単位(大会社は百万円単位も可)
- 税務署に出した決算報告書はそのまま使えません
- 令第3条の使用人(営業所長等)の交代は、変更後2週間以内
- 出していないと、更新申請の受理前に過年度分を全部出すことになります
- 公共工事のうち政令で定めるものを直接請け負うには経審が必要(建設業法第27条の23第1項)
決算変更届は、毎年出すだけの書類に見えます。でも、経審を受けるかどうかで中身が変わります。
今年度、公共工事の入札に参加する予定があるなら、決算変更届を作る前に決めておいてください。
出典
e-Gov法令検索「建設業法」(第11条、第27条の23、第50条)
兵庫県「建設業許可申請等の手引(令和8年3月)」
兵庫県「工事経歴書(様式第2号)記載要領」
兵庫県「貸借対照表(様式第15号)記載要領」
兵庫県「建設業許可に係るQ&A」Q51・Q55・Q57
※本記事は2026年9月時点の情報に基づいています。取扱いは許可行政庁によって異なる場合がありますので、実際のお手続きにあたっては最新の手引き・記載要領をご確認ください。
Shoko行政書士事務所では、建設業許可の決算変更届・変更届・業種追加・更新のご相談をお受けしています。過年度分がたまっている場合も、まとめて整理するところからお引き受けします。兵庫県宝塚市を拠点とし、京都府京都市・大阪府大阪市を中心にオンライン・訪問にて対応させていただきます。まずはお気軽にご連絡ください。
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